Permanent of Entry #721
残念ながらもう動画は消えてしまっているが、2005年にテレビ朝日の番組『報道ステーション』スポーツのコーナーで東京女子体育大学新体操競技部第34回研究発表会に臨む部員らを特集した「日本一の新体操部 踊る112人の乙女たち」が最近 YouTube にアップされていたので、時を越えてその当時の様子を窺い見ることができた。
なかなか知る機会の少ない貴重なドキュメンタリー映像だったのではないかと思う。どんな内容だったのか振り返りながらキャプチャ画像と共に大要をまとめてみた。
レポーターは松岡修造氏、このコーナーは10数分ほどの特集となっている。
部員数は2005年の研究発表会のときに112人、2012年の発表会直前の現在は81人ということなので、7年前と比較すると3割ほど人数が減ったことが分かる。
年に1度の研究発表会、勝ち負けや点数は一切ないが部員達にとっては大会よりも遥かに大切な伝統の大イベントとのこと。
この時の発表会総責任者はキャプテンの横山玲奈(4年)さん。この発表会を最後に引退する4年生部員にとっては新体操人生の最後を飾る集大成となる。強い想いで臨んでいることが伺える。
山形強化合宿。静止画像では伝わりにくいが、映像を目にすれば全員でかけ声を出しながらの気合の入った練習からは迸るエネルギーが伝わってくる。ステージより練習の方が凄まじいと思えてくる光景。もはや大会や発表会よりも練習が見たいほどだ。ハイテンション!元気が貰えそう。
部員の中で中心メンバーとして踊る元日本代表選手の香西昌美(4年)さん。
発表会は2部構成で約1時間。見せ場となるのは難しい技術が盛り込まれているフープ、中盤の華やかなダンス、そして112名全員が行う太鼓の壮大な演技。演技の流れを分析し、分かりやすく図解で説明しているところに報道番組らしさが出ていると思った。
合宿中1番の課題となっていたのはフープ。大人数で行うフープの連係は通常の操作とは勝手が違い、クリアすべき課題も多いみたいだ。
発表会の準備は1年がかりで進められる。衣装作り、選曲も自分達で行う。候補にあがった曲は、およそ1000曲。そしてチケットを自分達で販売するのも慣わしになっている。
最後の花道に心を傾けるあまり、この時点で4年生は1人も就職が決まらない状態だとか。
発表会1週間前、部員の緊張感と一体感を高めるためにキャプテンから「ノーミス全通し」の提案が!1時間の演目を通して途中1つでもミスが出るとまた始めからやりなおし!!という恐ろしいもの。
まるで賽の目がいくつ出ようが全てふり出しに戻らされる双六をやってるみたいな果てしないゲーム。ノーミス全通しが一端発動したら、もう体育館からは出られなくなるというぐらいの覚悟が必要になってくる。
新体操ノーミス全通し成功したら帰れるワン。できなければ帰れまテン。これには新体操への無謀な挑戦(参照:ホリさまぁ~ず「女子新体操1点取れたら帰れるワン」 in YouTube)をしたことのある芸人、さまぁ~ずもびっくりであろう。
今でもこの風習って引き継がれてるのだろうか?怖すぎる。
全通しを始めてから12時間、前半部分を乗り切ったところでダンスパートの中心人物香西さんに異変が。左脚が肉離れを起こしたのである。それでも出番がくれば立ち上がって踊りだす。
彼女はなぜここまで頑張れるのか。
実は2年前、アテネ五輪最終予選を兼ねた世界選手権で敗退し、夢だった五輪出場が絶たれたことから引退を考えたことがあった。絶望の中、彼女を救ったのは大学の仲間達だった。みんながそばにいてくれたおかげで今ここにいられてる。そんな想いで頑張っているのであった。
( ;∀;)イイハナシダナー
だが、それでもやっぱり無理せず病院へ行った方がいいだろう。肉離れしたと思ったら診療を受けるのが先だ。
夜の10時になり、この日ノーミス全通しクリアできずに終了。
そして発表会当日。横山さん、新体操生活最後の願いは、112人みんな笑顔で終われるよーに。香西さん、脚をがちがちにテーピング。
本番直前、舞台裏に112人が集まり、このメンバーで踊れる最後の演技に向けて気合注入。112名から放たれるメガ粒子砲の威力はかなりの破壊力がありそうだった。
プログラムはうまくいっていたみたいで、ゴースを使った演技、リスキーなフープ、ソロのダンス、グループのダンス、そしてクライマックスの太鼓まで無事踊りきった様子が伝えられる。
見た感じ全演技ともフロア2面分を使って踊っているようだった。正方形が2つ繋がった長方形を1つの舞台として活用している。2面に100人以上が入って踊るというのは意外とびっくりした。
発表会を終えると4年生部員の多くは競技人生に幕を閉じるのであった。
最後に司会者の古舘伊知郎氏からは「ノーミス全通しから学んだ」という発言、できないではなくできるという気持ちで挑戦することで、いつかできるときがくると感じた様子。レポーター松岡氏からは「一生懸命さが訴えかけてきた」「人の気持ちをこれだけ揺さぶるものはなかなかない」と熱いコメントが出てた。
新体操日本代表を多く輩出してきた名門体育大学新体操部の総力を結集した大きな祭典。やはり生きているうちに観ておかなければならないイベントのひとつだと思った。
Last Updated: Thu, 2015-02-12 06:09:40
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そうなんですか!びっくりしました!
そういえば今年、インターハイ前に名古屋女子大高校が東女体大に練習しに行っていたようなので、なんらかの繋がりがあるのかなぁと思ってたのですが、そういうことだったんですか!貴重な情報ありがとうございます。
私、名女大高のある瑞穂区在住で超地元なので、山崎川の辺りを散歩してたら、もしかしたら遭遇するかもしれないですNE!
このときの横山主将は、今年のインターハイ覇者名古屋女子大高校の先生になってますよね。