マリインスキーバレエ「眠れる森の美女」名古屋公演を観に行った感想 Vol.2

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去る11月21日の土曜日、愛知県芸術劇場大ホールで開催されたマリインスキーバレエ名古屋公演を観てきた。3年振りの来日で、2009年日本公演全日程の初日でもある。演目は「眠れる森の美女」、オーロラ姫はディアナ・ヴィシニョーワ。

マリインスキー・バレエ名古屋公演パンフレット

バレエを観に行くなら、先ずはマリインスキー!そう決めて半年前にチケットを買い、いよいよ公演の日がやってきた。待ちに待った記念すべき初生バレエ。どんなことでも初めてのときは緊張するが、未知の体験をするときの胸が騒ぐ感じが好きだ。

14時15分会場、15時開演。緊張と期待感でドキドキ、わくわくしながら14時半頃に愛知県芸術劇場に到着。入口周辺の人だかりを見ただけでも女性客が多数を占めており、新体操国際大会以上に女性率が高いように感じた。女性ファン圧倒的多数。

入場し、メニューを受け取って座席へ向かった。場内では管弦楽団のメンバーが音合わせや、各自練習をしており、色んな楽器の音が響き渡っている。専用設計された劇場のホールだけあって音がよく通る。遠くの離れた場所から出ている楽器の音が、目の前で鳴ってるように聞こえて頭の中まで共鳴する。生楽器の立体的で優しい自然な音が心地よい。薄暗い照明の中、上演まで楽団の練習は続いていた。

演目「眠れる森の美女」のメニュー内容は、プロローグ・第1幕・第2幕・第3幕・アポテオーズとなっており、上演時間は約3時間35分。30-40分上演したら、20分間休憩というスケジュールになっていて、トータルで休憩が3回入るので、その度に気分もリフレッシュできる。公演を飽きさせないような休憩のタイミング、一般的な人が舞台鑑賞に集中できる時間を考えてのことだと思う。お見事だ。

幕が上がって舞台に照明が燈されバレエが始まった瞬間、「おお、見やすいぞ」と思った。愛知県芸術劇場大ホールは舞台の傾斜を0から10度まで調整できるらしいが、舞台の奥の方まで見やすかったので、かなり強めの傾斜に設定されているのではないかと思われる。ダンサー達は坂道みたいな斜めの床で踊るのだから凄い。

柔らかい音楽に乗って、バレリーナが軽やかなステップで登場したところから、異次元の世界へトリップする。日常から離れてマリインスキーワールドへ引き込まれて行く。

照明効果と合わさったときの舞台と衣装の色彩の美しさに目を奪われた。チュチュの発色が想いのほか綺麗に見える。バレリーナ達がそれぞれ着用しているカラフルなチュチュ。薄紫色のチュチュ、レモン色のチュチュ、オレンジ色のチュチュ、ピンクのチュチュなど、淡い色に染められた美しいチュチュを着たソリスト達が華麗に舞い、照明の中で浮かび上がって、幻想の世界。濃紫のチュチュを着たコール・ド・バレエの統制された迫力ある動きが、それを一段と引き立てる。

妖精を演じるカラフルなチュチュを着た6人のソリストが、単独で順に踊ったり、同時に踊ったりと、華やかで、美しすぎて、釘付けになった。

優雅なヴィシニョーワ演じるオーロラ姫も素晴らしいけれど、他のソリストもまた凄かった。いろんな妖精が出てくる物語なので、それぞれの役の個性を表現した踊りのバリエーションが観れるが、その中でも一際目立つ、ダイナミズムを感じる長身のバレリーナがいた。メニューに載っている一覧を見る限り、物語の構成を見る限りでは、おそらくリラの精を演じたコンダウーロワで間違いない(自信はない)かと思うのだけれど、主役を喰ってしまいそうな程の存在感が出てると感じた。さすが層の厚いバレエ団、優れた逸材がたくさんいるのだな。

見せ場と訊いていたローズアダージョ、アティチュードのままバランスを続ける難しい場面のため、踊り手には極度の緊張を強いられるそうで、注目して見守っていたが、オーロラ姫のヴィシニョーワは片足ポワントのまま貫禄漂う演技で無事踊りきった。

総合的に観て思ったのは、どのシーンでも舞台全体が美しいということ。ダンサー、衣装、舞台、まったく手抜かりがない。隙がない。徹底的に拘っているのだと思う。

見慣れた人にとっては当たり前のことかもしれないけれど、自分は公演を見て初めて知った。「眠れる森の美女」には赤頭巾ちゃんと狼が出てくる。狼の被り物をしたダンサーが、逃げる赤頭巾ちゃんを追いかける。想像もしていなかったことで、別の物語でも始まったのかと思った。話の中ではおとぎ話の主人公たちが招かれているそうで、シンデレラまでも登場する。驚きだ。冷静に考えると、かなりぶっ飛んだストーリーだ。

バレエ・舞踊ブログの11/21名古屋初日レポート[マリインスキー・バレエ]にも書かれているが、赤頭巾役を演じるダンサーの表情が素晴らしかったみたいだ。そこまで見れたらよかったけど、自分の場合、近視&乱視。視力もギリギリ免許証に要眼鏡と書かれないレベル。余程前列の席でない限りボヤけてしまってダンサーの表情まで見れる訳もなく・・・新体操を観に行く際にも言えることだが、オペラグラスの必要性を感じた。

素敵な時間はあっという間に過ぎてしまう。鳴り止まない拍手喝采の中、カーテンコールに応え何度も登場する主役のヴィシニョーワとコールプ。夢のようなファンタジックなショーは予定通り終わる。劇場から出た後も興奮覚めやらぬ私は、近くのカフェでストロングなミルクティを飲み、高揚を沈めながら、余韻に浸っていたのであった。

マリインスキー・バレエ日本公演公式プログラム
マリインスキー・バレエ日本公演2009 公式プログラム

勉強不足で初心者の自分ではあるけどとても感動した。いいものはイイ!マリインスキーバレエの公演を体感して、生バレエの美しさと迫力を今頃になって知ることができた。音楽に合わせて踊るということが直感性のあるものなので、深い知識がなくても目や耳からの情報がダイレクトに伝わって単純に楽しめるのだと思う。

もちろん色々知っていれば、もっと上の楽しみ方ができるだろうから、ちょっとづつ勉強しつつ、鑑賞レベルを上げて行きたい。また観に行きたいし、絶対に行くと思う。

余談だが、公式プログラムに掲載されていた情報によると、2010年10月にロシアの2大バレエ団、マリインスキーバレエ&ボリショイバレエの合同公演が決定しているようだ。詳細は2月頃発表とのこと。気になるなあ。名古屋公演あるかな?

Last Updated: Wed, -0001-11-30 00:00:00

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たくみ @xLWgn4Wk

こんにちは
 
はじめまして、匠と申します。演劇公演のことですが、私も情報を一つご提供いたします。よろしくお願いします。

米国神韻芸術団は2010年3月に4度目来日公演、詳細はホームページをご参考ください。
http://www.ticket-online.jp/home/

2010年日本公演スケジュールはこちら
http://www.ticket-online.jp/home/index.php?main_page=page&id=3

有名人から2009年日本公演への評価:
http://www.epochtimes.jp/jp/spcl_shenyun_1.html

作詞家・東海林良氏(日本音楽著作権協会会員)の絶賛
世界的チェロ奏者で作曲家でもある平井丈一朗氏の称賛
演技派俳優・村田雄浩氏の評価
日本映画ビジュアルエフェクト(VFX)クリエーターの第一人者・柳川瀬雅英氏の評価
人間国宝の善竹十郎氏の評価
デヴィ夫人の評価
等など

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