Permanent of Entry #1993
先シーズンの締めくくり、集大成となるはずの3月開催予定だった世界フィギュアスケート選手権2020はコロナ禍の影響で開幕直前になって中止が決定、一番大きなイベントが流れてしまい消化不良のまま終わった。
2週間早く開催が決行された世界ジュニアフィギュアスケート選手権2020の方はギリギリのところで実施できたので、僅かなタイミングの差が競技大会の実施可否の決断を分けることになった。
そして今シーズンもいよいよ始まる時期に突入し、毎年8月から開催されているジュニアGPは全試合中止で消滅してしまったが、10月から開催予定のシニアGPの方は従来とは違う制限付きで実施する方向に動いている。
疫病(COVID-19)のパンデミックの終息が見通せない状況を考慮すると、これからどれぐらいの大会が無事に実施できるかは未知数ではあるが、9月初旬現在、既にロシアではジュニアの大会も始まりだし、今シーズンの新しい演技が観れることは間違いなさそうなのでとても期待している。
こんな御時世であっても、このオフシーズン中に世界のフィギュア界では注目の大きな動きがあった。今シーズンのフィギュア女子シングルを楽しく観戦する為の要素として把握しておかなければならないので纏めておきたいと思う。
まずはロシアのエフゲニー・プルシェンコが2017年に創設したプルシェンコアカデミーが、世界最強を誇る同国のチームトゥトベリーゼ(サンボ70)から有力選手を次々に引き抜いて大きな勢力になったこと。
これまでに、世界最年少で4回転を跳んだことで有名な天才ヴェロニカ・ジリナとその妹アリョーナ・ジリナ。昨シーズン世界の各大会を網羅した怪物3人組のうち、最も技術力が高く複数種類の4回転を跳びギネス記録を3つ保持するアレクサンドラ・トゥルソワ、2019-2020シーズンのナンバー1に輝き、最高成績を収めて新たな世界記録を樹立したアリョーナ・コストルナヤ、そしてそれら若手に指導を行っているセルゲイ・ロザノフコーチなど他多数、次から次へと有力な選手とコーチを引っこ抜いてしまった。今回の移籍劇のキーパンソンとも思える指導者のロザノフコーチもろとも著名な選手達を一気に引っ張てくるという問答無用のダイナミックな戦略。おそロシア。
まだ設立から数年で、つい此間までは目立った成績を収めるような有力選手が皆無のチームだったプルシェンコアカデミーが、今が旬なトップ選手達が挙って移籍したことによってシーズンオフの間に一夜にして急激に巨大化し、完全に勢力図が変わってしまった。
裏側の見えないところで、一体どんな攻防が繰り広げられていたのだろう。元々不仲で対立しているトゥトベリーゼコーチと、プルシェンココーチの確執も益々激しさが増していくこと必至。今シーズンはこのロシアの仁義なき戦いを踏まえて国際大会を観戦していくと面白い。
因みにチームトゥトベリーゼには現在もアンナ・シェルバコワ(シニア)、カミーラ・ワリエワ(ジュニア)、ソフィア・アカチエワ(ジュニア)らの有力選手が在籍している。
その中でも先シーズンのジュニアGP、世界ジュニア選手権を制覇しているワリエワはその功績が高く評価されており、未だジュニア年齢でありながらも、ロシアフィギュアスケート連盟から特別に許可を受け、間もなくモスクワで開催されるシニアのロシア代表テスト大会に出場することが決まっている。そこも見所になる。
ノービスの頃から跳び抜けたセンスで輝きを放ち、神秘的で美しいスケーティングをするワリエワが、今シーズンもまた一段と美しい演技で魅了してくれることを祈りたい。
もう一つ、日本のエース紀平梨花選手の所属先変更の件も気になる出来事。濱田美栄コーチがメインコーチとしながらもブライアン・オーサーコーチの元へ師事すると発表されたり、その後、入国制限措置によりオーサーコーチとの協力を断念するという報道が出たり、スイス合宿や海外で練習している様子しか伝わってこなかったり。どうやら新しい試みを模索しながら練習環境を変えて挑戦している様子である。果たしてこれが凶と出るか吉と出るか、今後の展開に注目していきたい。
そして最後に5種類のジャンプの中で女子では未踏のジャンプである4回転ループ。4回転の中で最も難しいとされている最後に残されたジャンプを今シーズン達成する選手は現れるだろうか。誰が最初に跳ぶのか。可能性が高いのは5種全部跳べると言われているトゥルソワと、昨シーズンの練習映像で跳んだ姿が目撃された韓国のユ・ヨンのどちらかではないかという気がするが、もしかしたら全く想定外の選手がいち早く達成することも有り得るかもしれない。これも今シーズンの注目ポイントだ。
以上がフィギュア女子シングルを楽しく観ていく上で知っておいた方がいい大まかな部分になるかと思う。Enjoy!
先日紀平選手の Twitter に投稿された新しいショートプログラム動画。
今季のNewショートプログラムです☺️💪 pic.twitter.com/wpqkjYtxEb
— Rika Kihira 紀平梨花 (@rika_kihira) September 6, 2020
カッコヨス!何かこれまでとは違ったテイストが入った新たな姿が観れそうな予感。
Last Updated: Thu, 2020-09-10 21:54:28
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