Permanent of Entry #1756
JBpress から「新体操で圧倒的に強いロシア、隠された秘密とは」と題した興味深い記事がリリースされた。
モスクワに新しく建設されたイリーナ・ヴィネル=ウスマノワの名を冠した新体操の宮殿について詳細に説明されているのだが、読み進めていくと人物像の話となりダークサイドな内容に展開していく。
正に隠された秘密をオープンにしている。日本語でここまで踏み込んで解説したものはこれまでほぼ皆無ではないだろうか。
新体操ウズベキスタン代表ヘッドコーチからソ連崩壊後ロシア代表コーチとして引き抜かれ、2000年代に金メダル選手を量産してロシア新体操界の生きた伝説となったイリーナ・ヴィネル卿。ロシア人なら誰でも知っているほどの知名度があるようだ。
ヴィネル卿とその夫であるロシアの億万長者アリシェル・ウスマノフの経歴の説明から、ウスマノフの犯罪歴、最近の政治家への賄賂疑惑など暗黒面の話題に触れている。
そしてヴィネル卿と同郷で元五輪チャンピオンのアリーナ・カバエワは本当の親子よりも強い絆があると認識されているようで、カバエワの未婚の出産にも話は進む。何年か前のプーチン隠し子疑惑のときだけでなく、どうやら今年の5月にもカバエワは秘密裏に双子の男児を出産したようだ。やはり父親が誰なのかは明かされていないという。
またロシアのスポーツのスパルタ教育事情に纏わる、2012年ロンドン五輪シルバーメダリストのダリア・ディミトリエワのエピソードとして紹介されているヴィネル卿の飴と鞭の使い方が凄い。
ネットニュース「スポーツ・ル」のインタビューで、ロンドン五輪に向けての練習はとても厳しく、他の選手が2キロも痩せている中で自分は本番2日前に200グラム太ってしまい、ヴィネルに思いっきりぶたれたというエピソードを披露した。
どうもカメラが回ってないところでは気にくわない事があると選手をぶん殴ってるみたいだ。元選手として活躍した人からの話なら、かなり信憑性が高い。
しかし五輪後のご褒美もすごい。
ドミトリエワの回想によれば、ヴィネルはイタリアのサルディーニャ島に五輪メンバー全員を連れて行き、ヨット遊びをさせてくれたほか、一人ひとりに1万ドルのお小遣いを渡した。
五輪メンバー全員に一人1万ドルのお小遣いとは、ロシアンマフィアもビックリな羽振りの良さである。日本でこんなことを喋ったら、この額なら即座に税務署が動き出して問題化しそうだ。
ロシアの税制や法律がどうなっているのかは知らないが、通常は公にしないような一般常識から逸脱した出来事を名指しで公にするとは、さすがおそロシア。感覚が異次元レベルだ。
記事は綺麗事では終わらせずに真相に迫るどす黒い話題満載で、久々にワクワク胸躍る内容で面白かった。読んでおいて損はない。一押し!
余談だが、この記事を執筆している徳山あすか記者、つい最近当ブログエントリー “マリインスキーバレエの永久メイ、ロシアメディアに大型特集掲載” で取り上げたスプートニクの永久メイ氏のロングインタビューの記事「芸術の殿堂マリインスキーで輝く日本人バレリーナ、飛躍の軌跡」を執筆した人と同じ人物である。
私が高い関心を持っているロシアバレエとロシア新体操、どちらも旬の話題をキッチリ調べ上げて他では観ないようなクオリティを提供してくれている。これほど私的にど真ん中なネタを連発するとは只者ではないな。名前覚えておこう。
Last Updated: Tue, 2019-07-09 01:07:30
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