フィギュアスケート女子が今シーズンも面白い展開をしていて目が離せない Vol.4

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Elizabet Tursynbaeva

3月、シーズンを締めくくる世界フィギュアスケート選手権 2019、世界ジュニアフィギュアスケート選手権 2019 は終了した。ジュニアはアレクサンドラ・トゥルソワが2年連続優勝、シニアは苦戦が続いた今季を乗り越えて2018年五輪金メダリストのアリーナ・ザギトワが優勝し、女王の座を守り抜いた。どちらもエテリ・トゥトベリーゼコーチの門下生だ。

シニア女子で勝利したザギトワ以上に印象に強く刻まれたのが、次世代スケートの片鱗を見せて銀メダルを獲得したエリザヴェート・トゥルシンバエワ。フリーでシニア女子シングルではISU公認大会史上初となる4回転に挑戦すると公表され、フリー最終滑走のオオトリという大役の見せ場で予定通り4回転ジャンプ(4S)を跳んで見事に成功させた。このインパクトは大きかった。

今シーズン中の達成はもう無いなと思っていたら突如降って湧いたサプライズ。女子ではジュニア年齢の選手にしか認定されてこなかった4回転を、遂にシニア年齢でも成し遂げる選手が現れた。しかも19歳という年齢で。「ジュニア時代に跳べなかったらシニアになってからでは跳べない」というジンクスを完全に打ち破った。トゥルシンバエワ天晴れ。

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Step by step😌 #4S

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トゥルシンバエワが練習で4回転を跳んで着氷に成功してる動画を自身のインスタグラムに投稿したのは今年2月初め頃だったので、僅か2か月足らずの短い期間でプログラムに組み込んできたことになる。このような大きな大会で前人未踏の挑戦を試みて成功させるという大胆な行いに敬意を表したい。

国際大会6連覇中で優勝候補の筆頭だったが4位で終わった紀平梨花。格下のランクに居たのに心機一転して銀メダルを獲得したトゥルシンバエワ。この差はどこにあったか。

1月のコロラド合宿4回転練習で、4T、4Sの2種類の成功が目撃されているにも関わらずプログラムに組み込まなかった紀平。跳べるようになった4回転をすぐさまプログラムに入れて実践投入したトゥルシンバエワ。恐れずに新しいことに挑戦する勇気。この心意気の違いが明暗を分けたように思う。

ジャンプ成功率の問題があるので一概には言えないかもしれないが、やはり持てる力を最大限に出して攻めの構成にしていかないと勝てないのが世界選手権や五輪。トゥトベリーゼコーチの門下生は本番で110パーセントを出すという方針に従って常にアグレッシブなのであった。

そして、驚くことにシニアの世界選手権と日を同じくして開催されたロシアのISU非公認大会に出場したジュニア4回転マスターのトゥルソワが、またまたとんでもない得点を叩き出した。フリーで 4Lz 、4T の2本を跳び、合計得点でアリーナ・ザギトワが持つ現行ルールの世界記録 238.43 を大きく上回る 254.33 を記録した。

非公認大会なので認定されないが、異次元のレベル。これまでにも頻繁に「非公式ながらシニア超え」「非公式ながらザギトワ超え」を大会がある毎に繰り返してきたが、今回の成果は大きい。女王ザギトワの最もベストな状態を軽く超えてしまっている。スレスレの僅差で超えるのではなく、大幅に超えた。この数値は当分誰も追いつけないだろう。しかもトゥルソワは持っている技術を全て出しきった得点ではないので、リザルトには伸びしろがあってまだまだ上が期待できる。驚異的だ。

アクセルを除く5種類のジャンプの内、4T、4S、4F、4Lzの4種類の4回転ジャンプをマスターしているトゥルソワは、ロシアメディアに語ったインタビューで、今後の目標として4L、3Aの習得を掲げている。揃えることができれば男子最高峰のネイサン・チェンと同等クラスとなり、コンビネーションの多彩さでは上回ることだろう。

日進月歩で進化しているトゥルソワ。ライバル選手を訪ねられれば男子と答えるトゥルソワ。来シーズンからシニア入りするトゥルソワを一体誰が止められるというのだろうか。成長期の体形変動でスランプに陥ることがなければ、いきなり独走態勢になることも予想される。

大会後にIOCのサイトに掲載された、今回の世界選手権で3位となった元女王のエフゲニア・メドベージェワのインタビュー動画によれば、これからは4回転が跳べなければ太刀打ちできなくなると認識しているようで、4T、4S の習得を主な目標に掲げている。

そしてまた新たにトゥトベリーゼ門下に4回転を成功させる若き選手が現れた。ソフィア・アカチエワ11歳。ジュニアにも満たないノービスの選手だ。

アカチエワは 4T、4T+3T を跳んでいる。ここへ来て雨後の筍のように次々と4回転ジャンプを跳ぶスケーターが出現し始めている。

トゥトベリーゼコーチはロシアメディアの2017年のインタビューに「女子4回転は3年後普通に」と発言しているが、本当にその通りになってきているのだ。

4回転を習得したトゥルシンバエワ、紀平。そして来シーズンからシニア入りする女子4回転時代の先駆けトゥルソワとアンナ・シェルバコワ。4回転習得を目標とするメドベージェワ。来シーズンが始まったときシニア女子は4回転が跳べていなければ第一線から戦線離脱することになりそうな勢いだ。本格的な4回転時代の到来で益々面白くなってきたフィギュア女子から目が離せない。

Last Updated: Mon, 2019-04-01 01:31:53

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