Permanent of Entry #1661
フィギュアスケート女子、技術革新の真っただ中。今シーズンもロシアジュニアの次世代選手を中心に次々と未知の4回転ジャンプや、4回転ジャンプから繋がる未知のコンビネーションジャンプ成功が報告されているが、先日、紀平梨花選手が1月に行われたアメリカ・コロラド合宿で4回転ジャンプを成功させたというニュースが伝えられ、その時に撮影された4T、4Sを跳ぶトレーニング映像が公開された。
補助器具無しで4Tと4Sを跳び着氷している。
百聞は一見に如かず。この十数秒の映像の持つ破壊力は大きい。この世に少数しかいない3Aを跳べる選手が4回転ジャンプ2種類を習得してしまったのだから。
現在4回転を跳ぶジュニアのクアッドガールズ(トゥルソワとシェルバコワ)が最初に4回転ジャンプを目撃されたのは、どちらもノービス時代というもっと若い時期だった。そのことを考えるとこの映像を観るまでシニア年齢に達している選手が新たに4回転を取得すること自体が半信半疑だったが、その考えを見事に覆してくれた。
女子では誰もやっていない3Aと4回転ジャンプという組み合わせが現実に成りつつある。これにはザギトワ、メドベージェワも真っ青。まるで旧世代のシニア選手達に引導を渡したかのようなインパクト。実践投入して成功されたら、現実問題としてもう追いつくことは不可能に近い領域になる。「進化なき者に未来なし、昨日の女王は今日の平民」そんな重いメッセージを含んだ映像に見えてくる。
ザギトワは今回紀平選手が成功させた4T、4Sよりも高難度な4Loと4Fの習得に取り組んでいるというが、未だに補助無しで跳べた形跡はなく、このセンセーショナルなニュースが届けられたことで輝かしい時代を生きたシニア2人の焦りは募るばかりだろう。
また来シーズンからシニアに昇格する予定のクアッドガールズは、この出来事に刺激を受け躍起になり、既に複数種類の4回転を跳んでいる(アクセル以外はほぼ網羅状態)彼女らは、一刻も早く3Aを跳べるようになりたいと思う筈だ。尋常じゃない負けず嫌い体質を持つ若きトップアスリートの魂に燃料を投下したようなものなので、また一段と技術革新が加速することだろう。
来シーズンは本格的にシニアの世界にクアッドショック旋風が巻き起こることが分かっているが、その前に紀平選手が今シーズンの演技プログラムに4回転を入れてくるのかどうか、そして誰が一番先に公式試合でクアッド+3Aを成功させるのか。凄く楽しみになってきた。
日本からオーバー・ザ・おそロシア。こんな面白い展開があるなんて考えてもみなかった。技術革新で主役の世代交代が加速するフィギュアスケートからは目が離せない。
Last Updated: Mon, 2019-02-04 06:09:06
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