フィギュアスケート女子が今シーズンも面白い展開をしていて目が離せない Vol.2

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Alexandra Trusova - Quad Jump or Die

フィギュアスケート女子の中核を担う強さを持つロシア。12月後半にロシアのサランスクで開催されたロシアトップ選手が一堂に会するロシア選手権2019で、この世に2人居るジュニア女子4回転ジャンパーが本領を発揮した。

ジュニア選手とシニア選手が同じ舞台の上で競うこの大会で、優勝アンナ・シェルバコワ(229.78)、2位アレクサンドラ・トゥルソワ(229.71)、3位アリョーナ・コストルナヤ(226.54)とジュニア選手たちが表彰台を席巻。平昌五輪金メダリストのアリーナ・ザギトワ(212.03)は5位、銀メダリストのエフゲニア・メドベージェワ(205.90)は7位となった。

ジュニア選手達がシニア勢を抑えて完全な下剋上となる逆転現象が起きたが、その中でもワンツーを決めた2人はクアッドマスターであり、4回転ジャンプの効力を証明するような結果となっている。

Anna Shcherbakova FS (155.69) - Rostelecom Russian Nationals 2019

Alexandra Trusova FS (154.75) - Rostelecom Russian Nationals 2019

フリーの2人の演技を観てみるとまだ力が抑えられ、余力があるのが分かる。2位となったトゥルソワはジュニアGPファイナル2018のときに3つ入れて挑んだ4回転ジャンプを今回は2つに減らし、うち1つで転倒しても尚この高い点数。優勝したシェルバコワは4回転ジャンプを4Lz単独の1個だけに減らして安全策をとったやり方にしている。

もし2人が今シーズン過去の大会でやったように既に実践投入されている4T、4S、4Lzなど複数の4回転ジャンプや、4回転から繋げる高難度のコンビネーションジャンプをリスクを恐れず果敢に跳びまくって全部成功した場合、一気に技術点が跳ね上がることが予想できる。

そうなると最早今のザギトワやメドベージェワがノーミスで完璧な演技をしたとしても追いつくのは困難になってくるだろう。

またロシア選手権2019の審査員スコア(上記PDF)の内訳を観てみると、4回転ジャンプの数を増やすだけに留まらず、ショート、フリー共に2Aで跳んでいる部分を3Aに置き換えた場合、超絶的な高得点になる。特に4回転の効力が無効で、跳べるジャンプ数が少なく制限されたショートプログラムにおいて、3Aを跳ぶことは得点アップに効果覿面だ。

ショートでの優位性を考慮したうえで、氷上では未確認ながらも、このところシェルバコワの陸上で3Aを想定したかのようなジャンプ練習が頻繁に目撃されていることから、いずれ技を習得し、近い未来に正式にプログラムに組み込む方向性に進んでいるのは間違いなさそうだ。恐らくはトゥルソワも同じようにその方向性で考えているだろう。

クアッドジャンプ&トリプルアクセル。天賦の才を持つ者が、更に身体を粉にするまで酷使してようやく得られる程の力。習得できれば正に「鬼に金棒、ポッターにニワトコの杖」。

女子では誰もやっていない夢のジャンプの共演が実現可能となるか、この先どこまで潜在能力を引き延ばしてくるのか。発展著しい途上段階の現在、リスクをセーブした演技で今大会のパフォーマンスを出した。次はありったけのハイリスクハイリターンな全開演技を観てみたい。これからも神童たちの動向を固唾をのんで見守るしかない。おそロシア。

Last Updated: Tue, 2018-12-25 12:49:10

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