競技をするときの髪型について考えてみた。(先日ここFC2ブログのシステムにユーザータグ機能の追加がアナウンスされ新機能が備わったらしいので、とりあえずこのエントリはタグ機能のテストも兼ねてみる。)
選手は競技のときは髪をアップするので皆同じ様な風貌に成りがち。余程のショートカットでもないかぎり邪魔にならないように髮をまとめざるを得ない。演技中に崩れてしまわない様にしっかりと固定しておく必要があるだろう。するとどうしても髪を束ねる上でやれる方法も限られてくるので、カタチに変化をつけるのもなかなか難しいのかもしれない。しかしそんな状況下でも各選手は、演技に悪影響の出ない条件を満たしつつイメージチェンジを計ったり、お洒落を楽しんでいるようだ。
雰囲気を変える為に行う方法でよく見るのは分け目をつくったり、分け目の位置を変えたり、髪を束ねる位置を変えたりというのが多いようだ。例えばベッソノバは最近だと七三位に分けてることが多いみたいだし、カプラノバは後ろのまとめる位置が下の方にくることが多い、といった具合。髪の長さによっても選択肢は変わるが、束ね方もポニーテールにするかシニヨンにするかで全然イメージは違うし、シニヨンの形や大きさ、位置を変えることでも雰囲気は大きく変わり、意外と幅広いバリエーションがある。
一見同じ様に見える中にも細かな変化があり、それぞれ自分なりのお気に入りや拘りのやり方があるのだろう。あまり凝ったことをすれば手間も掛かるし、そのことで試合前の髪のセットアップに多大な時間を要してしまえばロスが増えるということもあってか、至ってシンプルで微妙な違いを楽しむというのがスタンダードやり方に感じる。そんな中でも工夫して独創性のある髪型を実践してる選手も居る。 (Photo by Barny's Photopage)
いつ頃から存在するのかは知らないが常々ユニークでカッコいいと思っている髪型に、前髪の一部を垂らして渦巻き状にカールさせアクセントにするというスタイルがある。右画像は現役当初のヴィトリチェンコ。エスプリの効いた粋な遊び心と茶目っ気を感じる小洒落た粧いだ。揉み上げ部分に渦巻きカールをつくる髪型は、これまでメディアを通して何度か目にしている気がするし、ヘアスタイルのトレンドとして存在しているようで、この前髪でおでこに渦巻きをつくる愛らしい髪型は、それを発展させて産まれた形状ではないだろうか。この髪型にもネーミングはあるのだろうか?クラシックバレエの演目ドン・キホーテのキトリを踊るダンサーがこの髪型をやってるのを見たことがある気がする。
この髪型をやるためにはセットするときのみならず、カットの段階で渦巻きをつくる部分を短くしておく必要があるはずなので、一時の思い付きだけでできるわけでなく、最初から計画して意志を持って挑んでいることになる。髪をアップしたときに効果覿面。ジムナストとしての自覚を持っているからこそやる!そんな心意気が伝わってくるし、且つとてもキュートだ。
最近リタイヤしたシルキナもこのヘアスタイルを継承している。こちらもクールにカッコ良くキマっている。もしかするとウクライナでは伝統的に受け継がれている髪型かもしれない。肌と髪の色のコントラストが強い方が際立つはずだから、金髪の人より圧倒的に黒髪の人の方が似合うだろう。色白肌に黒髪でおでこが狭すぎない、この条件を満たしていればハマりそうだ。時宜にシニアになるクラブ後輩の期待の星、ボイコ辺りが継承して挑戦すれば似合いそう。実は東洋系人種には全般的に似合う髪型なのではないかと思う。日本人はきっとよく似合ってマッチする人が多いだろう。ここから発展させてまた新たなスタイルをクリエイトし、オリジナルを造りだしていくのも面白いと思う。 (Photo by rhythmic gymnastics 1)
エクステンションなのか、それともメッシュなのか。髪が斑状になっているカテリーナ・ピセツキイ。ちょうどこの金髪部分が赤色になっていた時期もあったはず。ウィービングという染め方の一種かもしれない。近年では付け毛の種類も増えて様々なものが出てきているので、工夫して華やかに飾る選手もこれからもっと出てきそう。 (Photo by Marvin Moore's Rhythmic Images)
こちらはサイドと前髪をツイストさせて後ろのだんご部分に向かって流れるように持ってくるというかなり凝った形状をしているリセンソン。この捻じる箇所を三つ編みに置き換えてセットしても良さそうだ。いづれにせよ手間は掛かるだろう。おそらくは会場入りする前に早起きして頑張ってセットしてきたんじゃないだろうか。 (Photo by Barny's Photopage)
真ん中から半分を流して、もう半分は摘んだように真後に留めているというイレギュラーなスタイルのトスタド。変則的な形状を上手にまとめてる。髪をアップしていない普段の姿も軽快感のあるスポーティな印象がある。髪を降ろした状態でも可愛く、上げた状態でも可愛く。両立させた状態を模索しながら、このスタイルに辿り着いたというような感じだろうか。麗らかで素敵な笑顔のトスタドによくマッチしている。 (Photo by Gymuniverse)
トスタドの右横側からのヘアスタイル。簡単にまとめてるように見えるが、実はかなり計算されたカッティングの上で出来上がっているのではないかと思う。後れ毛もセクスィー。 (Photo by Tom Theobald)
独創性の極め付きは新体操エリート選手ではコデュンコ以外に見たことのない、細かい三つ編みを全体に施した個性迸る眩いばかりの存在感を放つゴールデンアフリカンヘア。2003年頃のヘアスタイル。カッコぇ~。天晴!流石ゴデュンコ!といった感じ。ナイスだ。これにはシビれた。自分の中での格好良さ指数ナンバーワンはこれ。メンテナンスが大変なためか、短期間しか維持しなかったようだが、こういった奇抜な様相を見れるのもまた楽しいものがある。ゴデュンコは演技でもコミカルな動きを取り入れたりと、いろんな面で新しいことに挑戦して従来からの慣習に風穴を空けるような貴重な存在かもしれない。ところでゴデュンコここ何年も赤毛が定着してるし、まったく違和感がない。元々赤毛なのかと錯覚してしまいそう。
皆アイディアを駆使して自分らしいスタイル目指して頑張っている。全体的な傾向として、熟練したベテラン選手になればなる程レパートリーの幅が拡がり遊びが増えるように思った。経験を積み重ねてきたことで生まれる精神的余裕の現れか。何事もゆとりを持つことが大切だろう。人に与える印象の影響を考えると、見た目の雰囲気を演出するのも結構大事。演技の技や表現力を磨き自分のスタイルを築き上げるのと同様ルックスも自分のスタイルを築き上げる努力を怠ってはいけないのだ。